緑風
クス、タブ、アラカシ、スダジイ、モミジなど種々雑多な大木が梢を連ねる森の中から、少し開けた道へ出て一休みするハンナです。今の森の中は芽吹いてきた木々の緑が鮮やかで、木漏れ日も透明な緑色の光のように見え、森の中にあるものがみな新緑の明るい緑色に染まりそうです。視線を下に向ければ、道の端や土手ではシダの仲間、ヤブジラミ、ドクダミなど日陰を好む植物の芽がいたるところから顔を見せ、涼しそうに風に揺れています。そんな木立の中を吹き抜けてくる爽やかな風は散歩で汗ばんだ肌に心地よく、ハンナならずとも腰を下ろしてしばらく吹かれていたくなります。これから梅雨に入るまでの森の中は、木立の間を抜けて風が運んでくる森の匂いや葉擦れの音、それに日毎に濃さを増していく新緑を楽しむのに絶好の季節です。