カキの実とハシボソガラス
野山や公園のあちこちで、カキの実が秋の日に照り映えています。そんな鮮やかな照柿色の実を下げたカキの木がたくさん見られるフィールドで、小高い土手の上に上がって周囲を見回していると、遠くのカキの木の樹冠にハシボソガラスがとまっていました。望遠レンズを向けてみると、熟れたカキをおいしそうについばんでいます。その様子を見ていて、幼いころ父母が毎月買ってくれていた幼児用絵本の、キンダーブックだったかひかりのくにだったかに、秋に熟れたカキの実は木の真ん中あたりになったものを収穫し、下の方の枝になった実は旅人のため、上の方の枝になった実はカラスをはじめ鳥のために残す話が載っていたことが記憶の片隅からにじみ出るように湧き上がってきました。そこに描かれていた絵や話の遠い記憶をたどっていると、私を膝に座らせ絵本を読み聞かせてくれた祖父母や父母の膝の暖かさが思い出されてきた秋の午後でした。